ついに開幕した『第一生命 D.LEAGUE』!ダンスファン唸らせる仕掛けやドラマを徹底解説!

2021年1月10日、日本発プロダンスリーグ「第一生命 D.LEAGUE」が開幕、豪華ゲストとともに熱狂的な幕開けとなった。開幕戦を制したSEGA SAMMY LUXなどパフォーマンスレビュー、D.LEAGUEのドラマや新しい試みについて解説し、D.LEAGUEをさらに楽しめる情報を紹介する。

2021年1月10日、世界初のプロダンスリーグ「第一生命 D.LEAGUE」(以下D.LEAGUE)が開幕した。ROUND.1は出演者、スタッフ、記者など関係者全員が事前にPCR検査を行い、感染症対策を徹底した上無観客で開催された。
どのチームも趣向を凝らした珠玉のパフォーマンスを披露した中、ディレクターBOBBY率いるSEGA SAMMY LUXが78ポイントで開幕戦を制した。その様子は日本有数の動画配信プラットフォームとCS放送で生配信・生放送され多くのダンスファンを熱狂させた。見逃し配信を行う動画配信プラットフォームもあるため、このレポートを読んで改めて、開幕戦の見どころやD.LEAGUEの魅力について再発見してほしい。

すごいダンスが見れるだけじゃない、ドラマが生まれるレギュレーション

D.LEAGUEはパフォーマンスに対し4名の審査員が採点を行う。Dリーガー達は、誰を世界に出しても結果を残せるであろうポテンシャルや実力を持つダンサーばかりであり、採点を行うのは非常に困難な作業だ。表現の分野である以上、アイススケートのようにこの技は何ポイント、という客観的な基準を設けることもできない。しかしその分印象を残し結果を出すために様々なアイデアを模索し創造し、ダンスファンを唸らせる新しい表現や伸びしろが生まれる余白があると言える。D.LEAGUEでは各チームオリジナルの楽曲で踊るという特徴も併せて、楽曲、構成、ダンサーの個性がガシッとハマった時に、感動大作映画のような作品が出てくるのかも知れない。

開幕戦を制したSEGA SAMMY LUXはダンス界のレジェンドBOBBYがディレクターを務め、リーダーのCANDOO、J.S.B.undergroundから若手実力者2名、EXPG1万人の中からJ.S.B.オーディションで選出された5名によって構成されたチーム。ROUND.1では未来感のある衣装をまとい、高いスキルと爆発的な熱量を最後まで放出し続けるショーを展開した。彼らのスタイルのベースとなるニュージャックスウィングは16ビートと呼ばれる音どりをする躍動感のあるダンスがベースで、HIPHOPの中でもユニゾンを揃えて踊るときにとりわけ個性が出てしまいやすい。しかし、SEGA SAMMY LUXのショーは32ビートを刻む躍動感と高難易度の振り付けやフォーメーションをガッチリ合わせ、一体感と世界観を印象付けていた。

怒涛のスキルセットを多用し盛り上げてくる構成のチームが多い中、avex ROYALBRATSやKADOKAWA DREAMSは、緩急の付け方など引き算のうまさ、かっこよさが目に止まった。この両チームを皮切りにSNSなどでD.LEAGUEの振り付けが流行するのではないかという点も注目だ。KADOKAWA DREAMSのディレクターKEITA TANAKAによると「日本のカッコ良さを見たいならKADOKAWA DREAMS。12戦(用意が)あるうちの1色目です。」とシーズンを通して多彩なダンスを見せてくれそうだ。

大トリに出てきた肉体派・武闘集団FULLCAST RAISERZは統一感を超えて統率力とも呼ぶべき絆、シナジーとエナジーのあるパフォーマンスを見せてくれた。仁王立ちしたダンサーの胸を踏みつけ階段のように走り抜け、放り投げたキャップをキャッチする大技『マッスル階段』は何度見ても圧巻だ。次々と大技やソロを成功させ、ショーの最後に何が起きたかはぜひ動画でチェックしてほしい。

注目したいのは、Benefit one MONOLIZ。瞬時に肩を外す驚異的なFlexingの要素を武器として取り込みながら、特有の色気を放つVOGUEというジャンルを中心に小道具を用いたパフォーマンスを行なった。使った楽曲は『VOGUE BEATS』というジャンルの曲で、日本ではまだ少ない上に、今回はさらに和楽器を使ったオリジナル音源というこだわりを見せての挑戦だ。VOGUEをはじめ、ダンスはマイノリティ文化から発生したものが多く、その文化的背景がわかると採点項目とはまた別の素晴らしさや面白さを発見し、深く楽しむことができる。今回の結果は最下位と、点数としては振るわなかったが、確実に爪痕を残した。今後どう巻き返していくのかも含め注目したい。
また、レギュラーシーズンの優勝とCHAMPION SHIPの優勝は別枠で賞金が出るという驚きの発表もあった。各チーム、ダブル優勝を狙いたいところだ。

あなたの応援は力になる


D.LEAGUEでは審査員4名の採点の他にD.LEAGUE オフィシャルアプリ経由でオーディエンスの投票がポイントとなる。開幕戦からその影響力は大きかった。avex ROYALBRATSはオーディエンスからの応援により、ランキング最下位から4位まで上り詰めるというドラマがあった。ディレクターであり世界に影響力を持つインフルエンサーでもあるRIEHATAは、avex ROYALBRATS公式YouTubeでショートムービーを公開し、このステージではその続編という位置付けでダンスを踊る、というサプライズを用意してきたのだ。

通常のコンテストでは舞台上でのパフォーマンスが全てだが、D.LEAGUEは、試合前にすでに試合が始まっている。そして審査員の坂見誠二氏が「僕は辛口でつけます」とあえてヒール(悪役)を演じてくれたが、これは逆に言えばオーディエンス投票の1ポイントが大きな1ポイントになることを意味している。有料会員登録は必要だが、ダンスファン達が好きなダンス、ジャンル、ダンサーに投票して結果に公平に反映されるシステムは画期的だ。
また、有料会員は投票できるだけでなく、バックステージの様子や会員限定のコンテンツも配信される。実はROUND.1の放送終了後、今回の全ダンサーの中からCyberAgent LegitのTAKUMIがMVD(Most Valuable Dancer)に選ばれ、その様子が配信されたようだ。
SEGA SAMMY LUXのチームリーダーCANDOOは、まだ知られてないメンバーの個性が見えてくるのを楽しみにしてほしい、とコメントしていた。Dリーガーの中には個人で世界や日本一のタイトルをとったダンサーたちが多数在籍している。中には現役の高校生ダンサーや、ダンスをやりながら社会人として働いていたが、退職してプロに転向したダンサーもいる。また、CyberAgent LegitのTAKUMIとSEPTENI RAPTURESのYU-YAは過去に同一チームで優勝経験もある。D.LEAGUEでは別々のチームに所属しどう切磋琢磨していくのか、お互いをどう意識しているのかなど、気になるところだ。そうした人間関係を含めた舞台裏もぜひチェックして欲しい。

企業とダンサーが契約する二つの意義

D.LEAGUEは、トップパートナーにソフトバンク株式会社、タイトルスポンサーに第一生命保険株式会社の決定が発表され話題となった。
企業とダンサーが契約を結ぶのは2つのメリットがあると思われる。
ひとつはavexやKOSÉといった、ただの商品でなく、ブランド価値のあるモノを通して”ライフスタイル”をサービスとして提供している企業と発信力のあるダンサーたちの親和性が高いこと。プロチームを持ちたいと思った時に野球やバスケ、サッカーや駅伝などもよいが、ダンス、という選択肢のハマり具合は見事だ。企業がダンサーを、ダンサーが企業を、お互いにサポートしあえる関係性が築ければ、アスリートとの契約とはまた違った相乗効果が期待できる。実際にパフォーマンスや宣伝以外の部分でうまく関係が進んでいるチームもいるようだ。
そしてもう一つは未来をつくる実験場として最高の舞台となるという点だ。
地上波のストリートダンス番組放映時には水面下で使用曲の著作権関係のトラブルが起きていたが、D.LEAGUEではその問題を解決すべく、ダンサーが音楽をプロモーションし、その権利の一部を分配していく、というスキームに挑戦している。中にはクリエイションに参加しているダンサーもいる。
また、なかなか外出できない情勢が続く中、ソフトバンクが提供する5G LABからは4視点のFR、VR、そしてARなどのアプリが用意され、家にいてもリッチな体験ができるサービスを提供していこうという実験的な試みがこのD.LEAGUEとともに行われている。好きなアーティストのライブチケットが当たらない、などと悲しまなくても、スマホと電波さえあればいつでもどこでも、そして好きな視点で特等席からパフォーマンスを見ることができる。他のスポーツ競技でもドローンを使った試合の配信などが行われているが、今回の開幕戦に合わせて多くのメディアとコラボした配信は新しい試みだった。
これらの仕組みがうまくいけば、企業、ダンサー、ミュージシャン、そしてファン達と、多くのメリットが生まれる。まだ公開されていない試みも含めて、実験の場としてのD.LEAGUEに注目してほしい。

D.LEAGUEオフィシャルYouTubeでは各チームの開幕戦パフォーマンス動画が公開されている。今後もいち早く情報を掴むためにチャンネル登録をしておこう。
D.LEAGUEオフィシャルYouTube
また、各チーム、ROUND.1で使用された楽曲とチームのテーマソングが配信されているので各チームのオフィシャルSNSアカウントもチェックだ。

今後の予定として、ROUND.1開幕舞台裏密着映像は1月15日21:00公開、ROUND.2は1月24日18時スタート予定だ。
D.LEAGUEを深く楽しむために、有料会員限定コンテンツ、次回に向けた各チームの取り組みや動画配信などぜひチェックしてみてほしい。

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