妥協せずに踊り進んでいく【菅原小春】がブルーノート東京ソロ公演で見せた「問いかけ」
菅原小春のブルーノート公演は、いい意味で“ちゃんとしてない”
——が、果たしてちゃんとする必要があるのだろうか。
「“ちゃんとする”って何? その概念にみんな疲れているんじゃないの?」
まるでそう問いかけるように、ステージ上のお祭りの演目は次々に表情を変えて進み、突如クライマックスが訪れた。
タテジマヨーコの情熱的な弾き語りが始まると、菅原はステージ中央で忽然と立ちすくむ。
薄暗い照明の中、アンダーウェア姿で、中途半端な立ち姿で。
惚けるわけでもなく、憤るわけでもなく、ただ立ちすくみ、己の肉体を晒す。
晒す。
彼女の生命エネルギーを、晒す。
「私が私で、とにかく全力で前に進んでいくことで、絶対に良い世の中になる。それだけの気持ちで前に進んでいくこと。妥協せずに“踊り進んでいく”ことなんだと思います」
どのぐらい時間が経っただろう。
インタビューでの彼女の最後の言葉がぼんやりと浮かんできた。
この時間、彼女が表現したいものは一体何だったのだろう?
そして観客が感じ、持ち帰ったものは——。
「芸術表現とは問いかけだ」という言葉がある。
明確な答えはなく、それに触れたものが何かを感じることに意味がある。
真の芸術は、額縁に収まるものではなく、はみ出していく生命エネルギーの塊であり、触れた者の感性を震わせる、問いかけだ。
そして菅原小春は、問いかける——。
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