追悼:坂見誠二〜ダンスの神様が伝えたかったこと#3「緒方先生&SHUVAN」

キミたちは世界レベルでも間違ってない

「亡くなってからしばらくは、呆然としてました。今でもひょっこり顔を出してくれるんじゃないかと思って……」(SHUVAN)

と語るのは、同じく福岡出身、九州男児新鮮組を主宰するブレイクダンサー「SHUVAN」だ。九州男児クルーは、世界的ダンサーISSEIを輩出し、最近では人気番組『America’s Got Talent』に出演するなど世界レベルでの活躍を見せている。

「でも結成当初は全然コンテストで勝てなかったんですね。その時に誠二さんが僕らのところにわざわざ来て“君たちがやっていることは世界レベルでも間違ってないよ”と言っていただいて、当時すごく自信になったんです。当時はただのB-BOYチームに過ぎなかった僕らに、ダンスの神様がしっかり向き合って、その後も引き上げていただいた。今の僕らがいるのは誠二さんのおかげなんです」(SHUVAN)

SHUVANと九州男児たちは、誠二のアドバイスで、ブレイキンをショーとして伝えることをより意識するようになり、その後の数々のコンテストでの快進撃に繋げていく。

「誠二さんも僕も男性タレントの振り付けをやることが多いんですけど、現場の誠二さんはストリートダンスをエンターテインメントとして見せることを追求されていました。より伝わりやすくなるように、仕草ひとつでカッコ良く見せることもできるんです。あと、ストリートダンサーがいろんな大きなステージやメディアに出ていくことの大切さや心構えなども教えてくれました。ストリートで凝り固まっていた僕らのマインドをいい意味で壊してくれたんです」(SHUVAN)

現在、メディアで目にするダンス&ボーカルグループのダンスには、ストリートダンスの要素が強い。
芸能とストリートカルチャーの融合、その下地を丹念に作り上げ、双方の理解を進めていたのは間違いなく誠二の功績だ。
中でもブレイキンには、日本人として大きな可能性とチャンスを見抜いていた。

来年は、ブレイキンが世界的競技として大きな飛躍を見せる年となる。

その様子を、その記念日を、あのとびきりの笑顔で、天国から見守ってくれているはずだ。




緒方浩●プロフィール
1973年福岡県生まれ。高校時代にダンスを始め、北九州市立高校の教諭・ダンス部顧問として、黎明期より高校ダンスの認知発展に務める。主宰する全日本高等学校チームダンス選手権は今年13回目。3〜10回大会は誠二が審査員長を務めた。

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