第一生命 D.LEAGUE 23-24 CHAMPIONSHIP!!!王者KADOKAWA DREAMS、2連覇の偉業を達成!!MVDは2年連続で颯希(SATSUKI)。

No.ONEとなったKD。ゴールドより輝いたLegit

決勝戦、KDのテーマは「ONE」。自分達の絆や団結力だけでなく、見ている人々や相手チームすら自分達のショーで一つにしてしまおうというコンセプト。そして1位のONEでもある。準決勝のメンバーからバトンを受け取った選手たちが、ベンチコートで衣装を隠すことなくステージに登場した。

パフォーマンスはサス照明に合わせたMINAMIのソロから始まり、メンバーが動きをトレースしていく。コンペティションではシンクロ率が高いルーティーンの割合を増やす方が高得点が見込める。しかし「自分達のHIPHOP」での勝利と「世界に通用する作品」にこだわるKDは、あえてポーズや大技など個性を要所要所で展開させる。対極にあるはずの”調和”と”野性味”が共存しているのがKDの個性だ。

緻密なフォーメーションとポージング、腹筋の上を走らせリフトで一回転する斬新な組み合わせ技を、リスキーながらしっかり決めていく。

ソロからフロア、ドルフィン、アクロバットで盛り上がりを一ヤマ作った後はハーフビート(遅いビートの)パートでDaichiをセンターにし音ハメを決める。TSYのバク宙を受け止め、リリックだけのパートでは女性メンバー3人が立ち姿によるかっこよさを主張する。

リディム(ダンスホールレゲエ)のビートに音が変わり、密度の高いパワフルなルーティーンから、TSYの大ジャンプ2回宙返り。2回宙と呼ばれるこの技はラウンド14で出す予定が、ハイリスクすぎたため急遽別の技に変えたという経緯があり、CSの大舞台でのリベンジを誓っていたTSYは見事着地まで綺麗に成功させ歓声を浴びた。

息が上がっている様子を見せない抜きと客席煽りから最後のラッシュに入り、自分達の思うかっこよさ(=HIPHOP)を濃密に詰め込む。

対するLegitのテーマは「ALL FOR GOLD」。優勝の金のトロフィーを得るために、自分達の積み上げてきたもの全てを出すという。

メタリックな衣装に身を包み、優勝に届かず打ちのめされる場面と、そこから這い上がりKANATOが前宙で前に進むところからダンスが始まる。後ろ向きに安全に転ぶテクニックや前宙のために安定して台座を作るテクニックなど、今シーズンのLegitはダンスも表現力も幅広く磨き上げてきた。

持ち味であるクイック&スローのルーティーンにダイナミックなコブラを使ってのフォーメーション移動。enaのパワーロッキンからロックを繰り返しながら質感や音どりを七色に変化させていくルーティーン。

ビートが変化してからのAYUNAのソロと目力は今シーズン1番の輝きを放つ。KANATOの背中を土台にし、AYUNAのブリッジに紙一重の距離でSHOSEIがサイドフリップをきめエアーに繋げる。

TAKUMIのソロでは腕のウェーブに合わせてメンバーがフロアをスライドし、ATOのソロを含め抜きのある音遊び、最後のラッシュでは表情も含め全身全霊を込めたPOPPIN’に、複雑なカノン、KAI→とKANATOによるアクロバットも成功し、追加点として最後のドラム音を掴む余韻を持たせる構成。海外を経て学んだ経験も反映されていたのではないだろうか。

最終ジャッジは拮抗し、最後の一人が開票されるまでわからないというドラマチックな展開で、見事CSを制したのはKADOKAWA DREAMSであった。優勝が決定した瞬間、舞台袖からKDのメンバーが出てきて喜びを分かち合った。

一方Legitは勝敗が決まった瞬間ステージに倒れ込むメンバーもおり、CS決勝で2度目の敗北を経験することとなった。舞台袖からは1chが駆け寄り、リーダーTAKUMIはメンバーに起き上がるよう手を差し伸べるが、その後上を向き涙を滲ませていた。

KEITA TANAKAは優勝コメントで「明日また同じ戦いをしたら別の結果が出たんじゃないかと思う。僕らの目標は、レギュラーシーズン優勝ではない、CS優勝でもない、世界をひっくり返す、ダンスで。川崎から世界を変える、そんなチームでありたいと思います。」と語った。

試合後のインタビューでMVDとなった颯希(SATSUKI)は「伏線回収というか、決勝戦はどちらが勝ってもみんなが喜ぶ状況で、1点差という稀有な状況で勝利を掴めた。勝てたことが心の底から嬉しく、心の底からメンバーみんなを尊敬しています。」と語っていた。

1.5軍やアバンセ、ユースも含め大所帯のチームとしての層の厚さと情熱で紡がれたKDの優勝。それに対し少数精鋭でスキルシェアを行いショーの構成力と表現力を磨き上げてきたLegit。

金のトロフィーこそ獲れなかったが、ストイックに優勝を目指しレギュラーシーズンを駆け抜けてきたLegit自身が、イミテーションゴールド(模造品の金)ではなくレジットゴールド(本物の金)として輝いていたシーズンだったのも確かだ。次はプラチナ、そしてダイアモンドと、来シーズンも更なる本物の輝きを見せてくれるに違いない。

決勝戦にも負けない熱量の勝負。そしてサプライズ発表

レギュラーシーズンの1〜2位にはシードが送られ、3〜6位のチームは準決勝に進むためのトライアルマッチで勝利しなければいけない。レギュラーシーズンは単純に上位6チームに入れば良いという単純なものではなく、順位1つの差がCSの戦略に大きく影響してくる。

熱のこもった決勝に負けず劣らず、1st Trial MatchのFULLCAST RAISERZ VS KOSÉ 8ROCKSの勝負も、初戦ながら高火力チーム同士の熱い戦いとして多くのファンの記憶に残るものだった。

CSに4年連続出場となるRAISERZは「This is KRUMP」をテーマに、メンバーが参画した楽曲で、自分達のスタイルを出し惜しみしないパフォーマンスを展開した。

対するKOSÉ 8ROCKSは21-22シーズンのCSでチャンピオンに輝いたチーム。同じパワースタイルのチーム同士、RAISERZとは戦績2勝2敗、ライバルと呼んでもいいほどの好敵手だ。RAISERZがアーミー(陸軍)なら8ROCKSはアクロバットやパワームーブで自由自在に空を飛ぶ空軍と表現できるだろうか。通常は空軍の方が陸軍に対し有利だが、RAISERZのシンボルである登り竜は簡単に空からの勝利を明け渡してはくれない。

8ROCKSはSPダンサーとして初代ディレクターのISSEIが登場。ファンを歓喜させるとともにこの勝負への本気度が窺える。ディレクターKakuは今シーズン限りでの退団が発表されており、Kakuへ勝利をプレゼントしたいという想いもある。

ジャッジの結果、KOSÉ 8ROCKSが勝利し、TaichiはSHUVANによる特別なディレクションへの感謝と、兄のISSEIに「おかえり」を伝え、Kakuに勝利をプレゼントすることができた。

会場からは歓声だけでなく「どちらも鳥肌が立った」といった声が聞かれた。まさに日本を代表するダンスの頂上決戦、その開幕戦から会場が身震いするほどのバトルを披露してくれた。負けた試合であろうと、意味のない試合は一つもなかった。

そしてイベントの最後には、6/26(水)18:00〜第一生命 D.LEAGUE 23-24 AWARDS SHOWの開催、そしてリスト株式会社による新チーム「LIST::X(リスト エクス)」の参画が発表された。来シーズンは全14チームとなり、10月13日に開幕を予定している。

23-24シーズンを通して全171名のDリーガーの成長や挑戦、多くのドラマがファンの心を動かしたのではないだろうか。これからさらに規模が大きくなるD.LEAGUEと、新しいドラマやダンスに期待して欲しい。SD.LEAGUEからのスター誕生の瞬間や、各チームの取り組みなど、オフシーズンもぜひ話題をチェックし感想とともに拡散して、D.LEAGUEを一緒に盛り上げていただきたい。

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