KIDS SIDE、RIZE SIDEは共に2連覇の快挙!キーワードはライバルと絆!マイナビDANCEALIVE 2024 FINALレポート KIDS&RIZE編

ローカルの絆、サークルの絆、何を背負い戦うのか。

進化する学生ダンスシーンとともにルールをブラッシュアップし続けてきたRIZE SIDEは、新体制となりさらにレギュレーションが刷新された。ポイントランキング制を撤廃し、各予選で優勝すれば決勝大会進出が決定する形となった。また、昨年までの大学対抗という制限を廃止し、メンバーが同じエリアであれば他大学の学生とチーム編成が可能となった。

RIZE SIDEは他のカテゴリーと違い3on3でのバトル、3ムーブ制となっている。メンバー選定からバトルの駆け引きまで、戦略を立てる大きな余白が用意され、学生ならではの斬新なアプローチに期待が集まる。

昨年St.Paul’s Spiritとして優勝したRingo Winbeeが、KRUMPのLady Twiggz、LOCKのYamatoと、サークルをレペゼンするメンバーと結成したMusic Company。対するは福岡、長崎、熊本から、キッズからダンスアライブに挑戦してきた九州エリアをレペゼンするダンサーが集まったOllie Flock。

昨年九州勢はFINALの舞台に立つことができなかったが、今年は新たなレギュレーションにより出現したダークホース、Ollie Flockが準決勝まで上がり、昨年の優勝者と対峙することとなった。

バトルはRingo Winbeeのムーブからスタート。フローからのハードヒット、リリックに合わせた安定したスタイルで、腰の高さをそろえた状態でのステップやクレイジーレグを繰り出し、何度も見せ場を作り出し会場を沸かせるテクニックは流石の一言。

対するOllie FlockはHokutoのフリースタイルから、過去一でクラッシュしたという勢い余った飛び込みムーブ。溢れ出るエナジーを感じるスタイルに加え、二人でフロアを活用したスロールーティーンを披露する。個々の技量はもちろんのこと、キャリアや実績で不利な相手に対しても、クリエイティブなコンビネーションでバトルをひっくり返せるというのがRIZEの見所の一つだ。

続いてLady Twiggzの爆発力の強いKRUMPは確実にドラムの音を取りながら、巧みなボディコントロールを並べていく。途中にはRingo Winbeeがアームスウィングを被せるルーティーンも飛び出し、攻撃的なスタイルを通してバトルのテンションを上げていく。そのテンションに共鳴したOllie FlockはLotusの粘り腰のHIPHOPをベースにムーブを返していく。

LotusはALL STYLESに出場したEiji drhと同じスタジオで活動するダンサーで、共に切磋琢磨してきたクオリティの高いフリースタイルを炸裂させていく。目から火花を飛ばすようなバトルアティチュードで相手を挑発し、駆け引きなしのストレートなバトルに誘い込む。

3ムーブ目でのMusic Companyはトップロックでのルーティーンから始まる。ブレイキンという意外な角度からのルーティーン、そしてYamatoがビバップを取り入れたステップと微塵も緊張感を感じさせない変幻自在なロッキンを披露する。Lotusが呼応するようにハウスのステップからHokutoとのルーティーンを展開し、飛び出したB-BOY rikutoのトリッキーなフットワークが決まっていく。

RIZEらしいハイスキルな戦いを見せた結果、7-0でMusic Companyの勝利となった。

もう一つの準決勝、我烙汰VS EPOKも熱い想いの乗ったバトルを見せる。北海道の若手シーンで今一番勢いのあるチームの一つ我烙汰は、キッズの頃からダンスアライブを始めとしたバトルで切磋琢磨してきたライバル同士で結成されたチーム。同じく北海道からFINALに進出したリアルモンスターも我烙汰メンバーを擁し、BEST8で敗退した彼らの想いも背負ってMYNAVI STAGEへ立つ。

対するEPOKは、近畿大学の学生で組まれたチームで、関西を中心にメンバーそれぞれが爪痕を残しているチームだ。昨年も同じチーム名でFINALへ進出したものの、BEST8で敗退。今年はメンバーを一人入れ替え、今年こそはとリベンジに燃える。

先行EPOKのムーブは、太い音どりの身体操作から始まった。コンテンポラリーも学んでいるというTaisei!!によるソロから、3人でコンタクトワークを取り入れたルーティーンを展開。身体能力の高いB-BOY達の特性を活かし、枠にとらわれないスタイルで畳み掛ける。

我烙汰は相手のムーブへのアンサー、3人でのコンビネーションとルーティーン、そしてオールラウンドに対応できるスタイルでベーシックスキルの高さを見せていく。メンバーのLil hornetはマイナビDANCE ALIVE HERO’S 2020 FINALにも出場しており、貫禄のあるサウンドアプローチと自由度の高いKRUMPで会場を盛り上げる。

スキルを土台に3人の絆を見せる熱い戦いは、EPOKの勝利。その斬新なルーティーンの数々を見て、次は何が飛び出すのか、と会場からの期待が高まった。

キーワードはスキルシェア!日本大学生シーンのトップを決める東西頂上決戦

RIZEの決勝戦は、関東の強豪立教大学D-mcからのMusic Companyと、関西の強豪近畿大学EPOKからサークルの名を背負って登場したEPOK。どちらも大学生シーンでは個人・サークルともに実績を積み重ねてきた歴史もある。

D-mcは他大学の学生も所属できるインカレサークルで、今回のレギュレーション変更で同じサークル内の他大学メンバーと共に参加できるという選択肢が増えたのも大きな変化だろう。

Music CompanyのRingo Winbeeは昨年、HIPHOPのATO、BREAKINGのRikuと組み、ジャンルを超えたスキルシェアでパワーアップしたルーティーンを披露し優勝を掴んだ。そして今年はFULLCAST RAISERZ A.R.M.Yでの活動や様々な大会への出場で実績を積んできたKRUMPのLady Twiggz、バトルやコンテストで確かな実力を見せてきたLOCKのYamatoとコラボし、さらなるパワーアップを見せる。

EPOKも同様に、MORTAL COMBAT NEXT GENERATIONとして国内外のバトルや大会に出場し独自の進化を見せるKIOとsatsuki、そしてPOPPIN’とコンテンポラリーを武器とするTaisei!!が二人と交わることでMYNAVI STAGEでは見たことのないような化学反応が起きていた。

また、Ringo Winbeeとsatsukiは、共に台湾で行われる学生対抗クルーバトルの日本代表として選出されるなどの因縁もある。日本を代表する実力派が集まるチーム同士の決勝戦は、ゲームメイク次第でどちらが勝ってもおかしくない。

決勝戦ファーストムーブはLady Twiggzによる抑揚のあるKRUMPから始まる。一つ一つの音に密度の濃いボディコントロールを当て、KRUMPらしい爆発力をレペゼンしていく。そしてアイコンタクトを送り、3人のKRUMPルーティーンで、攻撃力のあるバトルを展開する。

EPOKは柔よく剛を制すと言わんばかりに、裸足のTaisei!!が粘度の高いボディコントロール、恐竜のようなシルエットのステップから、ボーンブレイク(肩はずし)を使ったルーティーンへ繋げていく。腕の輪くぐりによるコンタクトワークは斬新だが、角度によっては失敗してしまったかのようにも見え、全体を通してエクスペリメンタル(実験的)な要素を多数散りばめたダンスがどう評価されるのかにも注目だ。

曲が変わりRingo Winbeeのハードなソロ、そしてLady Twiggzがルーティーンを重ねる。特定のジャンルに特化したダンサーによる他ジャンルのダンスを見ることができるのもRIZE SIDEの醍醐味だ。密度の濃いエレクトリックブガルーのユニゾン、ソロはクイック&スローを変幻自在に展開し、表現の幅を見せつけていく。

そしてRingo Winbeeの引っ張り出すようなアクションに合わせてB-boy KIOがステージのセンターへ。ステップワーク中心のソロから、アイコンタクトもなしに3人がノーモーションでルーティーンに入る。しっかりと計算されたルーティーンに加え、腰の筋肉に支えられたパワームーブとフリーズを成功させる。

Music Companyのラストムーブは、ソウルロッキンのルーティーンからYAMATOが飛び出し、フロアからチャチャのリズム、そして伸縮性のあるフリースタイルロッキンを決めていく。目に見えない風格やオーラを感じるステップが飛び出し、チームメンバーも嬉しそうに真似している。

泣いても笑ってもEPOKのラストムーブ。Taisei!!の指揮に合わせ、コンテンポラリーやジャズを取り入れた柔軟性のあるコンタクトワークで会場を沸かせる。常識にとらわれないMORTAL COMBATのマインドを見事に継承し仕上がったsatsukiのシグネチャームーブは、柔軟性をしっかり活かし困難な体勢をキープし、フリーズまでを精神力で成功させたように見てとれた。

結果は5-2で、突出した高いソロスキルを見せつけたMusic Companyの優勝。メンバーのRingo Winbeeは昨年に引き続き2連覇を成し遂げた。両チームともバトルを楽しんでいただけでなく、FINALに向けての練習から全力で楽しみ、それが結果につながったと言える青春の詰まった好バトルであった。

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