ダンスがくれた美しい生きるヒント ~Memorable Moment『GIFT』レビュー~

90分の公演という形でMMの世界とメッセージを堪能でき、なおかつその中で、それぞれの作品を単独で見る時以上の感動を感じる……そんな、公演として作品を披露することの意義が強く感じられた公演だと思いました。

ダンサー・KAORIaliveさんの表現力
主人公の女性の役を子どもから大人まで踊り演じたのは、カンパニーの中心的存在であるKAORIaliveさんでした。子ども時代は元気に愛らしく演じ、年齢が上がるにつれて、佇まいや動きにどんどん落ち着きが出てきます。ダンスで年齢を的確に演じ分ける表現力には驚きました。

ダンスで印象に残ったのは、主人公の恋愛が描かれるシーンです。NAOKIさん扮する男性に交際を申し込まれ、後に二人は結婚します。二人のステップの軽やかさ、ボディタッチの柔らさや優しさ。そこには初々しさと女性らしさが合わさり、恋愛のみずみずしさがあふれていました。
時を経て公演が終盤になり、死別した夫の墓前に黄色い花を添えるシーンになるころには、主人公はもうすっかりと落ち着いた大人の女性になっています。ダンスもしっとりした動きになり、長く生きている人が持つ風格のようなものを感じました。
主人公の誕生からずっと見ていたものだから、このシーンでは「こんなに大きくなったんだ」という感慨がありました。そもそも子ども時代から同じKAORIaliveさんがずっと演じているわけですが、そんなことはすっかり忘れてしまい、本当に長い年数をかけて主人公の人生を見守ってきた気分になってしまいました。それくらいKAORIaliveさんの演じ分けは見事なものでした。

ところでこの公演の中で、ところどころ黄色いアイテムが登場します。私はそれを、幸せの象徴として解釈しています。
例えば、結婚前に主人公は、未来の夫から黄色いブーケをもらいます。ここで黄色が登場するということは、この花は彼女の人生にとってものすごく意味のある花だったんだと思います。
そして夫は他界します。前に書いたお墓のシーンで、他のダンサーは白い花を供えるのに、主人公だけは黄色い花を供えます。
そう、結婚前に夫からもらったのと同じ、黄色いブーケなんですね。
ここに、主人公が夫をどれだけ思っていたかがつまっている気がして、私の涙腺が緩んだ瞬間でもありました。

黄色いアイテムを幸せの象徴と解釈すると、主人公はいろいろな幸せを手にしています。
しかし、この公演が幸せをたくさん手に入れてハッピーエンドに向かっていく物語かというと、そうでもないんですね。主人公は最終的に独りになります。
公演の趣旨からは外れますが、それを見て漠然と思ったことがあります。長く生きる人間は、その分別れを多く経験するから、それに耐えられるように、神様が事前にたくさん幸せを与えてくれるのだろうか? そうだったらいいな、なんて祈りのようなことを考えました。

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