ダンス部大会【DCC】優勝は表現力で帝塚山学院!【出場全チームレポート】

<<Bブロックより

 

1stステージ:Cブロック

 

C-1:日本体育大学荏原高等学校(生態:まじわり)
独創的な群舞とフォーメーションで抽象的な表現を展開する。流れを変える見せ所がもう一つほしかった。
(1/27/29=57)

 

C-2:仙台城南高等学校(生幸:メッセージ)
体幹でしっかり踊るダンス技術の上で、得意のHIPHOPではなくJAZZ表現で挑戦。ダンスだけで伝えようとする潔さが素晴らしい。
(2/32/33=67)

 

C-3:千葉敬愛高等学校(冥霧:ブルーム)
意味深な目隠しに緩急の効いた振り付け。フォーメーションも多彩でダークな世界観がしっかりと届いた。
(2/25/30=57)

 

C-4:大阪産業大学附属高等学校(幻現:ゆめうつつ)
衣装と選曲にセンスを感じる。ワルツのリズムで絶望的な歌詞世界を表現する輪舞。ここ数年で一気に台頭してきた注目校。
(5/34/38=77)
FINAL STAGE進出

 

C-5:関西学院高等部(杜護:ガーディアン)
映像的な世界観、群舞のバリエーションと表現力、構成力。すべてのバランスがよくフルパワーで遅いかってくる。
(6/34/38=78)
FINAL STAGE進出

 

C-6:宝仙学園高等学校女子部(夢想:ロマンチシズム)
オールディーズな世界を楽しく構成。明るい表情とカラフルな衣装が目を引く。
(4/29/36=69)

 

 

C-7:関西大倉高等学校(我道:いきざま)
般若心経を導入に、全く予想のつかない展開とスピリチュアル表現にいざなう。大技がハッとするアクセントに。
(4/34/39=77)
FINAL STAGE進出

 

C-8:川崎市立橘高等学校(燦花:ララライ)
大所帯のフォーメーションとユニゾン、カノンを多用した群舞が印象的な初決勝進出校。
(1/23/28=52)

 

C-9:沖縄県立名護高等学校(私道:あなたがいる)
宇多田ヒカルの曲で洗練されたスタイル系ダンス。生徒自主制作でこのクオリティは素晴らしい。
(0/27/31=58)

 

C-10:愛知県立昭和高等学校(惨歌:ラプソディー)
かわいい衣装に楽しい構成。ミュージカル的な楽曲のユニークさを表現するアイディアが満載。
(3/29/36=68)

 

C-11:大阪府立柴島高等学校(海魂:うみのゆうれい)
HIPHOPのダンス力を活かしてリリカルなJAZZ表現。振り付けの独創性と感情的な表情も印象的。
(2/33/37=71)

 

C-12:武南高等学校(笑弾:バンビ)
得意のお祭りブレイキンで場内LIVE状態。やんちゃなパッションと高度な個人技が光る。
(6/37/42=85)
FINAL STAGE進出


FINAL STAGE結果

 

審査員が代わり、審査点も変更(表現力を10点増/技術力を10点減)してのFINAL STAGEへ。

優勝:帝塚山学院高等学校(独創性7/技術21/表現力52=80)
※規定通り表現力の差で優勝
準優勝: 樟蔭高等学校(9/21/50=80)
3位:目黒日本大学高等学校(4/25/48=77)
4位:関西学院高等学校(6/21/49=76)
5位:武南高等学校(6/19/49=74)
6位:三重高等学校(9/14/48=71)
7位:関西大倉高等学校(8/20/43=71)
8位:大阪産業大学附属高等学校(2/20/44=66)
9位:東京都立狛江高等学校(2/20/41=63)
10位:大阪府立登美丘高等学校(4/17/41=62)

【特別賞】
★オーディエンス員:日本大学明誠高等学校(解放)

★ベストストーリーテリング賞:細田学園高等学校(星瞬)

★ブルダック賞:東京都立葛飾野高等学校(燦忍)

★ Chiyoda賞:大阪府立登美丘高等学校(輝湧)

★ニチレイフーズ賞:関西学院高等部(杜護)

★EVE賞:実践学園高等学校(最愛)

★アクエリアス賞:鎮西高等学校(友共)

★DJ KOO賞:東京都立葛飾野高等学校(燦忍)


独自の審査システムのDCC攻略法

 

他の大会とは大きく異なる、DCCの審査項目。
・独創性10
・技術力40
・表現力50
=合計100
※FINAL ROUNDは表現力が10点増え、技術力が10点減る。

今回の大会の結果から、それぞれの項目の審査傾向がより顕著に見えてきたので、ここに記したい。

*10点の「独創性」で大きな差が
10点満点だが、ここの開きが意外に大きかった。チームにより0点から9点までで、勝負のわずかな差を分けるポイントでもあった。
実際、技術や構成に優れていても、独創性が1〜2点というチームも多かったようだ。
いくらクオリティが高くとも、審査員が「見たことのあるダンスの範疇」であると、この項目の点数は上がらない。
逆にこの点が高かったのは、樟蔭と三重。細胞分裂のような群舞を展開し、最後は歌ってしまう樟蔭に、学生だからこその悪ノリと意外に高い完成度のエンタメ三重。
奇をてらいすぎるのもリスクがあるが、強豪校とて持ち味に固執してしまうと停滞につながってしまう。ダンス部の作品全体を進化させるためにも、この「独創性」加点への果敢なチャレンジを続けてほしい。

*振り付けの奥に見える40点の「技術力」
ダンス部の作品は、振り付け=コレオの力がかなりモノを言う。だから、腕利きの振付師(コーチ)がつくと、急に生まれ変わったように作品力があがることもあるのだが、審査員はその奥の「技術力」をしっかりと見ている。逆に振り付けが高度で、ダンサーの力がそこに追いついていない「すき間」は印象を悪くしてしまう。
ストリート系ならばリズムのグルーヴ感や細かいニュアンス、ジャズ系ならばコアの確かさや基本技術すべて。振り付けと振り付けの行間にあるようなムードにも、技術力やダンス愛は現れる。本大会で、この得点が高かったのは帝塚山と武南(笑弾)だ。
ちなみにDCCも年々、創作ダンス出身のチームが増えてきたので、他の大会のようにコンテ系の審査員をラインナップしても良いのではないだろうか。ストリート系の審査員だと、ジャズやバレエの技術評価はどうしても甘くなってしまう。逆もまた然りで、コンテ系の審査員はブレイキンの細かいテクニックまでは見れないだろう。大会側は、審査員のセレクトにより気を使っていかなくてはいけない時代になってきた。

*50点を占める「表現力」とは?
漢字2文字の表現性に大きな得点比率のあるDCCだが、その2文字も造語や当て字が多く、審査員がその漢字と目の前のダンスをずっと照らし合わせて見ているのかは少し疑問だ。実際、過去に筆者がDCCの審査員を務めていた時は、漢字2文字は参照程度にしか捉えていなかった。
はて「表現力」とは何か?
要は伝えるチカラであり、心をつかむ表現であり、それを具現化する作品のバランスや完成度であり、細かくは構成・選曲・ビジュアル・振り付けの総合点のことを指すのだろう。
本大会の予選でこの項目が80点越えしたのは、帝塚山(親愛)・樟蔭(生命)・武南(笑弾)の3校。それぞれ観客を感動させ・圧倒し、・盛り上げる力が突出していた。

筆者はDCCを第1回から見ているが、その頃なら入賞していたレベルのチームが、今や予選ラウンドすら通らず、高校生離れした芸術性や先進性、大衆性を持つチームが次々に現われている。顧問やコーチ、振付師も若い世代に交代していき、高校生自身の自主性や作品能力も飛躍的にあがっている。
DCCの審査項目にあるような「独自のダンスを伝えるチカラ=独創性・表現力・技術力」をより高め合っていってほしい。

レポート:石原ヒサヨシ(ダンスク!)

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