【ダンス部向けコラム#2】チームを鍛える!!!〜基礎・応用・振り付け〜練習メニューと作品作り
そして作曲があれば作詞があるわけだが、ダンスの場合で言うと、作詞はテーマ性やメッセージにあたるだろう。非言語表現のダンスの中で「何を伝えたいか」を明確にすることは、特に教育的意義の強いダンス部では重要な要素だ。作品作りの順番として、作曲よりも作詞が先、ダンスならば振り付けよりも「何を伝えたいか?」をまず話し合うことが、表現としては自然な流れだろう。最初に「想い」あり、なのだ。そのためにまずは部員だけで話し合おう。全員が想いを一つに、イメージを共有できるまで話し合っていくべきだ。
観客の心を動かすのは、メロディだけでも詞だけでもない。それらがバランス良く合わさった時に初めて名曲が生まれる。ダンスでいえば動きとメッセージ、競技性と表現性、肉体と精神、そのバランスが作品の世界観を作る上で一番重要なわけで、他の競技では味わえない、ダンス部の活動でしか取り組めない最大の魅力だと思う。
先ほどの「模倣」に関してだが、ダンス部によって先輩たちが踊ってきた作品を、後輩が「踊り継ぐ」練習方法もある。場合によっては、代(メンバー)が変わって、同じ作品で大会やイベントに出場することも。これは、その部の伝統やスタイルを継承して次に活かしていく意味もあるだろうし、音楽もダンスも良い作品やクラシックに学ぶことは、創作への近道とも言えるのだ。
では話をダンスだけに絞ろう。作品作りには、振り付けだけでなく、その前に選曲やあり、構成があり、衣装やメイクなどの行程がある。筆者の見たところ、強豪校は特に選曲に時間をかけているようだ。選ぶ基準はいろいろだろうが、当然「その曲で踊りたい!」という強い気持ちがメンバーにあることが大前提。途中で作品作りがうまく進まない時、実はメンバーの大半がその曲があまり好きでなかった、なんてことは結構あることなのだ。また、ポピュラーな選曲ならば盛り上がれるし、それはダンス文化の基本でもあるが、大会作品の場合は他校と曲がかぶったりするので注意したいところでもある。
ダンス部の大会を1日見るだけで実にいろいろな曲が楽しめる。踊っている高校生の世代、教えているコーチや顧問の世代、それを応援する親世代など、いろいろな世代の音楽が入り混じっているし、高校ダンスの場合はいわゆるダンスミュージック以外のからの選曲も増えているので、言わば日本独自のダンス文化の多様性を味わうこともできる。ダンス自体のスタイルも同様、ストリートからモダン、ジャズなどが入り混じり、その審査は年々難しくなっているが、ある種の異種格闘技戦のような趣がダンス部大会の醍醐味なのだ。
